2025.7.4
中村 成孝選手4作目のシグネイチャーモデル、Uroboros ver.4 が2025年6月14日に発売されました。
古代の象徴「ウロボロス」—自らの尾を飲み込む蛇。
永遠の循環と再生を表すこのシンボルのように、One80所属の中村 成孝選手による人気シリーズ「Uroboros」も、今回で第4の姿へと進化を遂げました。
ただし、今回の進化は従来の延長線上ではなく、完全なる脱皮と再生の形をとることになりました。
Uroboros ver.1(2019年8月29日発売)
全長:42mm 最大径:7.45mm
Uroboros 80(2021年6月10日発売)
全長:42mm 最大径:7.45mm
Uroboros ver.2【43.5】(2021年7月30日発売)
全長:43.5mm 最大径:7.5mm
Uroboros ver.2【45】(2021年7月30日発売)
全長:45mm 最大径:7.5mm
Uroboros ver.3(2023年3月21日発売)
全長:43.5mm 最大径:7.5mm
「Uroboros3の完成度がある意味で呪縛になったんです」と中村選手は複雑な表情を浮かべます。
「あまりにも理想に近づきすぎて、その先にどう進むべきか…途方に暮れました」
シリーズの集大成とも言えるUroboros3の後に続く作品をどう生み出すか。その答えを模索する日々は、時に創作の苦悩そのものだったと言います。
「ある日気づいたんです。"改良"という発想を捨て、まったく新しい視点で考えることこそが、本当の意味での次の一歩なのだと」
こうしてUroboros4は、シリーズ名とナンバリングこそ受け継ぎながらも、先代モデルの改良版ではなく、完全に白紙の状態から生み出された全く新しい個体として誕生しました。
「数字上のスペックを見れば『あまり変わっていないじゃないか』と思われるかもしれません。でも、手に取った瞬間に『これは違う生き物だ』と感じていただけるはず」
その転機となる最大の特徴は、従来よりも太めに設定されたグリップ径。完成度の高かったUroboros3の路線を敢えて離れ、新たな感覚体験を追求する決断をしたといいます。
「Uroboros3があまりにも完璧だったからこそ、自分自身をまったく新しい環境に置きたかった。そこから生まれる新しい投げ方、新しい感覚を探りたかったんです」
ダーツを握る際の安定感が格段に増すとともに、余計な力みが抜け、しなやかなコントロール性能を実現したグリップ径の変更。この「馴染みのない領域から生まれる新たな安定感」というコンセプトが、Uroboros4の本質なのだそうです。
「私、投げる時に力が入りすぎる癖があるんです。それを解消するためにグリップ径を太くする試みをしてみたら、思いがけず自然と力が分散されて、狙った場所により正確に届くようになりました。まるで魔法のような感覚でした。行き詰まりからの解放というか…」
バレルエンド付近には微妙な窪みが設けられています。Uroboros3では特徴的な反り上がったエンド形状だったものが、今回は形を変えながらも同じ思想を継承しています。
「One80の仲間内では『Uroborosのアレ』と呼ばれているんですよ」と中村選手は笑います。「形は違えど、指の位置決めを直感的にサポートする機能は同じ。このくぼみは『ここだよ、ここ』と指先に語りかけるようなものです。無意識のうちに最適なグリップポジションへと導いてくれます」
さらに特筆すべきは、従来の多角形カットから縦カットへの大胆な転換。これも完成度の高かったUroboros3との決別を象徴する要素です。
「多角形カットはUroborosシリーズの"顔"でした。それを捨てる決断は、正直、怖かった」と中村選手は告白します。「でも、立ち止まるわけにはいかなかった。多角形カットは確かに指への掛かりが良いのですが、今回は縦カットだけで同じ、いやそれ以上の感覚を目指しました。力の伝わり方が違うんです—より直接的で、より正確に」
バレルを回転させると、光の加減で美しい陰影が浮かび上がる精緻なカット。見た目の美しさと機能性を高次元で融合させたUroboros4。その一投一投が、投げ手の意図を忠実に表現するように設計されています。かつてのUroborosシリーズとは異なる道を歩み始めた新たな挑戦の形がここにあります。
「ウロボロスの蛇が永遠の循環を象徴するように、このバレルも私と共に成長し続けていきたい。時には大きく脱皮して、予想もしなかった姿に生まれ変わることも恐れずに。そんな願いを込めています」
Uroboros ver.4 2BA 19g Rainbow 中村 成孝選手モデル
Uroboros ver.4 2BA 21g Black 中村 成孝選手モデル